教授挨拶
教授 辻 一郎

わが教室のホームページへようこそ。
私たちの教室は、がんや循環器疾患を中心とする生活習慣病の成因解明とその予防、高齢者の健康増進と疾病(障害)予防、そして健康寿命の延長を目指して、様々な研究に挑戦しています。
私たちの教室のミッションは、以下の3点に要約されます。第1のミッションは、国際的レベルの疫学研究を実施することです。私たちは、5万人規模のコホート研究データを2つ保有しており、詳細な生活習慣・健診データとその後の死亡リスク・がん罹患リスク・医療費との関連を10年以上にわたって追跡しています。これらの資源をフルに活用して、New England JournalやJAMAなどの一流雑誌に論文を発表しており、その成果は世界的にも注目されています。
第2のミッションは、疫学研究で得られたエビデンスを保健医療政策に発展させること(from evidence to policy)です。がん検診を始めとする老人保健事業の効果評価、介護保険における介護予防の推進、疾病予防の充実による医療費適正化への期待など、様々な政策課題において、私たちはエビデンスを提供し続けています。
第3のミッションは、臨床研究を支援することです。私たちは、日本の臨床研究のレベルが欧米に肩を並べることを熱望しており、その実現に向けた支援を行っています。そのため、臨床研究・臨床試験の企画やデータ解析のアドバイス、臨床科からの研究者の受け入れなどを行っています。
私たちの教室の特徴を一言で述べるならば、それは「多様性」ということに尽きるでしょう。教室員は多様な経歴・背景のもとに教室に参加しています。私自身もリハビリテーション専門医から転進しましたが、医師である教室員はすべて臨床経験があります。その出身といえば、一般内科、消化器内科、循環器内科、腫瘍外科、産婦人科、眼科、耳鼻科、精神科、行政など、様々です。医師以外でも、薬剤師、保健師、管理栄養士、作業療法士、理学療法士、健康運動指導士、法学修士など、数多くの職種が参加しています。
各教室員は、それぞれの経歴のなかで問題意識をいだき、それを解決するために私たちの教室に参加してきたのです。私は、そのことを大切に思っており、一人々々の自発性を尊重しています。その結果、教室の研究課題は実に多様なものになっています。そのなかで、自由な発想と活発な討論のもと、教室全体の統合が図られているのです。この多様性こそ、私たちの教室の最大の武器であり、21世紀の医学研究の目指すべき姿だと確信しております。
21世紀は予防医学の時代と言われています。予防と治療の区別が曖昧になるなか、臨床と疫学の接点も強まる一方です。この分野に関心があって研究の意欲を持ち、また公衆衛生領域の研究を続けたい人、厚生・医療行政で力を発揮したい人、それぞれの専門領域に戻って疫学的手法を存分に発揮して成果を上げたい人、私たちと一緒に研究しましょう。
皆さんのご参加をお待ちしています。