東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学専攻 公衆衛生学分野

ニュース

2010.8.1

栗山進一先生が「環境遺伝医学総合研究センター・分子疫学分野」の教授に就任しました

異動の御挨拶
東北大学大学院医学系研究科
環境遺伝医学総合研究センター分子疫学分野 栗山進一

 このたび8月1日付けをもちまして、東北大学大学院医学系研究科環境遺伝医学総合研究センター分子疫学分野・教授に就任いたしました。公衆衛生学分野在職中は辻 一郎教授をはじめ多くの皆様に大変お世話になりありがとうございました。改めて厚く御礼申し上げます。

 公衆衛生学分野在職中は主に、栄養と健康に関する研究を行ってきました。
 第一の研究テーマは、肥満の疫学研究です。日本人の肥満が医療費・がん罹患・死亡率に与える影響は欧米と変わらないことを解明し、この結果をふまえ、減量のための個別健康教育プログラムの開発を行って、肥満関連遺伝子多型に着目しながら生活習慣病の予防介入に関する疫学研究を総合的に展開しました。

 第二の研究テーマは、緑茶摂取の健康影響に関するものです。緑茶摂取により動脈硬化性疾患リスクが低下することなどを解明しました。他にも緑茶摂取による認知症発生予防の可能性を明らかにするなど、伝統的な日本食が健康に与える影響の検討を包括的に進めてきました。

 第三の研究テーマは、自閉症の疫学です。ランダム化比較試験により、自閉症児に対するビタミンB6投与の有効性を証明して、Cochrane Database Systematic Review (2005; 4: CD003497) から「この領域では最も研究の質が高い」と評価されました。さらに自閉症におけるビタミンB6反応性を予測する因子を検討し、血中の「グルタミン」濃度の低下がビタミンB6反応性を予測する可能性があることを発見しました。臨床に直結する成果であると同時に、自閉症サブグループの病態解明につながる成果と期待しています。

 今後はゲノムをはじめとした分子的な側面から疫学の研究教育に全力を傾けたいと思っています。がん等の生活習慣病の栄養疫学研究を拡充するため、静岡県掛川市においてゲノムコホート研究を開始しています。また、自閉症やアスペルガー症候群などの疫学研究に関しては、環境省の「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」の立ち上げに携わっています。
 今後とも倍旧のご指導とご鞭撻を賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。

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