東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学専攻 公衆衛生学分野

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2018.2.16

辻 一郎教授「遠山椿吉記念 第5回健康予防医療賞」授賞式

辻 一郎教授が「遠山椿吉記念 第5回健康予防医療賞」を授賞し、2月15日 ホテルメトロポリタンエドモントにて、授賞式・記念講演会が盛大に開催され、一般財団法人日本顕微鏡院・医療法人社団こころとからだの元気プラザ 山田匡通 理事長から、表彰状、記念品の贈呈、ご祝辞を賜りました。また、来賓としてご参列いただいた 久道茂名誉教授からもお祝いの言葉をいただきました。

受賞記念講演会、レセプションには、栗山進一先生、寳澤 篤先生、島津太一先生他、関係の皆様にご参列いただき、今回の受賞対象となった「大崎コホート研究」「鶴ヶ谷プロジェクト」などの思い出話に花が咲き、華やかで嬉しい時間を過ごしました。

【受賞者挨拶】

本日は身に余る光栄を賜りましたこと、山田理事長をはじめとする両財団の皆様、選考委員会の先生方、そしてご関係の方々に心より深謝申し上げます。まことに有難うございます。

私が健康寿命の研究を始めましたのは、25年も前のことです。アメリカ留学中に初めて、健康寿命という考えを知った時の衝撃は今でも忘れることができず、その気持ちに導かれて、これまで研究を続けてまいりました。現在、健康寿命という言葉は、多くの人々の知るところとなり、また健康寿命を延ばすことが国としても最重要事項の一つに位置付けられるようになりました。それは、できるだけ健康で長生きしたい、そしてできるだけ長く生きがいのある人生を送りたいという、人々の願いが、私どもの研究を後押ししてくれたからだと思っております。

健康寿命という研究テーマについて、そのコンセプトの立ち上げから政策化までに至る一連の過程に常に立ち会うことができましたことは、かけがえのない体験であり、研究者冥利に尽きるものであったと思っております。

本日、ご祝辞を賜りました恩師の久道茂先生には、温かく私を見守っていただいておりますこと、改めて深謝申し上げます。また、本日お越しいただいている、栗山先生と寶澤先生には、かつて私どもの研究室で健康寿命の研究を支えてくださったことに改めて御礼を申し上げるとともに、現在は東北メディカル・メガバンク機構の教授として、国内最大規模である15万人のゲノムコホートを立ち上げてくださいましたこと、誇りに思っています。 また、健康寿命に関する研究は、東北大学公衆衛生学分野が長年にわたって続けてきたものであり、本日、私は皆さんを代表して賞をいただくわけであります。改めて「有難う」とともに「おめでとう」と言いたいと思います。

公衆衛生学の研究者にとって重要なことは、単にエビデンスを作るだけでなく、エビデンスに基づいたポリシーを作り、社会を変えることであると考えております。それはまさに、感染症が最も重要な健康課題であった時代において、遠山椿吉先生は顕微鏡を武器として戦われ、さらには安全かつ衛生的な水道水の供給を実現されました。まさに遠山椿吉先生は、細菌学・衛生学のエビデンスに基づいて社会を変え、多くの人々を健康かつ幸福にされたのであります。先生のご功績には及びようもありませんが、私も微力ではありますが、少子高齢化の進む日本社会をできるだけ良い方向に変えていけるよう精進していく所存でありますので、今後ともご指導の程よろしくお願い申し上げます。

最後になりましたが、貴財団の益々のご発展、本日ご参集の皆様方の益々のご健康とご活躍を祈念いたしまして、私の受賞の挨拶に代えさせていただきたく存じます。まことに有難うございました。

(2018年2月15日、授賞式にて)

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