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2022.03.25
陸 兪凱さんが「令和3年度東北大学総長賞」を受賞しました
陸兪凱さんが「令和3年度総長賞」を受賞し、東北大学学位記授与式(川内萩ホール:3月25日)において、総長賞代表として大野英男総長より賞状を授与されました。【ご挨拶】
陸 兪凱
この度、東北大学総長賞という名誉ある賞をいただき、大変嬉しく存じます。また、令和3年度東北大学学位記授与式では、総長賞受領代表として登壇致しました。人生に一度しかない素晴らしい機会をいただき、心より光栄に存じます。ご指導いただきました東北大学公衆衛生学分野教授 辻一郎先生をはじめ公衆衛生学分野の先生方、ご支援くださった研究室職員の皆様、共に学んできた仲間の皆様に、心より感謝申し上げます。
私は中国の南京医科大学を卒業した後、2016年10月から学部研究生として公衆衛生学分野研究室に入れていただき、留学生活を始めることができました。そして2年間の修士課程を経て博士課程に進学し、本日その課程を修了することができました。これまで仙台で5年半を過ごしましたが、これは実家以外のどこよりも長く、仙台が自分の第二の故郷と言っても過言ではありません。この5年半の研究生活において、公衆衛生学的視点を習得し、たくさんの知識を身につけることができました。
修士と博士課程を通じて、生活習慣の変化と認知症発症リスクとの関連を解明する疫学研究に取り組ませていただき、複数の学術論文を発表することができました。博士論文では、禁煙期間と認知症発生リスクとの関連を分析し、3年以上の禁煙は認知症発生リスク軽減と関連することを明らかにしました。また、乳製品の摂取と疾病発生リスク、社会参加とヘルシーエイジング、睡眠時間と健康寿命など、幅広い研究テーマに取り組むことができました。
大学院の研究生活では、データの解析だけではなく、疫学研究の実施なども体験できました。修士課程では、公衆衛生学分野が計画した「中山歩け歩けプロジェクト」というランダム化介入研究の一環に参加させていただき、介入研究の複雑さを実感し、研究者間のチームワークの重要性など多くのことを学びました。この機会で研究室の皆様とのつながりが深まり、自分にとっても非常に有意義な経験でした。また、博士課程では、「大崎市民健康調査2017」のデータ収集に参加させていただき、「大崎市民健康調査2006」と「大崎市民健康調査2017」とのデータリンケージやクリーニングにも取り組ませていただきました。
中国では、「飲水思源」という言葉があります。それは、「水を飲む者は、その源に思いを致せ」という意味です。あるいは、他人から受けた恩を忘れてはいけないという意味です。私は、疫学研究データの貴重さを常に感じています。私が研究成果を出せることは、コホート研究の立ち上げにご尽力された先生方及び調査にご協力してくださった参加者の皆様のお陰であり、厚く感謝申し上げます。今後の研究生活でも、疫学研究の「源」を忘れることはありません。
まだまだ未熟な研究者ではありますが、これからますます研究に専念して疫学の道で進んでまいります。今後ともご指導ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。
