東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学専攻 公衆衛生学分野

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2004年度(平成16年度)公衆衛生学教室同窓会総会

会長挨拶

 いつもながらスライドを使わせていただきながら、簡単にこの1年間を振り返ってみたいと思います。
 今、久道先生からもございましたけれども、今年一番うれしかったことは、やはり久道先生が7月に入院されて非常にいい経過でお済みになられたということ、そしてまた二つ目は長與賞ということであります。長與賞の長與又郎先生という方は日本癌学会をつくられた方の一人でありまして、この方のお父様が長與専斎という幕末から明治にかけて活躍された医学者で、「衛生」という言葉を初めてつくられたそうであります。この賞は非常に名誉ある素晴らしい賞で、これまでで9人目、社会医学系では2人目のご受賞ということです。久道先生、大変おめでとうございました。そしてまた、副賞100万円のうち相当部分を教室に寄附していただきまして、どうもありがとうございました。

 それから、教室員からの教授就任といいますと、これからお話ししてもらう坪野先生に加えまして、安齋先生が宮城大学の看護学部の教授に就任されました。
 また、今年の教室の行事では、地域がん登録全国協議会を9月2日、3日に行いまして、私の方でお世話させていただきまして、ここでもまた久道先生にお願いして特別講演をしていただきました。特別講演では、がん登録の日本における発祥地である仙台にふさわしく、瀬木先生のお写真から始まるという意義深いご講演をいただきました。この総会の参加者は全国から193名で、歴代の会の中で最も参加者が多く、参加者の方々からも「非常にいい会でした」と お褒めいただきました。その節は皆様にもご協力をいただきましたこと改めて感謝申し上げます。

 恒例のベストペーパー賞ですが、去年の同窓会から本日まで、メドラインを見直してみましたら、教室から17本の英文論文が出ておりまして、その中で一番インパクトファクターの高かった雑誌が ”International Journal of Cancer”で、インパクトファクター 4.4でした。2人が載っておりまして、一つが小泉先生の、「Cigarette smoking and the risk of the gastric caner」です。もう一つの論文が栗山先生の「Obesity and risk of cancer in Japan」です。このお二人に後でベストペーパー賞を差し上げて、ご挨拶いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 それから、教室の人事ですが、西野先生が昨年から、アメリカのフレッドハッチンソンに留学していたのですが、この4月に復職してくれて元気にやっております。入れ違いというわけではないんですけれども、寳澤君がミネソタ大学に留学して、なかなかいい仕事をしているようなので、楽しみにしており ます。
 また、他施設への就職では、中谷君が国立がんセンターに、宇賀神君が栃木の厚生連の病院の薬剤師、それから、倉嶋さんが仙台市の職員に採用されました。それから三浦さんが西会津の健康福祉課に採用されまして、その町の健康づくりあるいは運動指導で一生懸命やってくれていまして、我々も西会津にはよく行っていますので、いつも元気な様子を知っています。
 新人は、博士課程が2人、修士課程が1人、入ってくれまして、博士課程は、菊地君が疼痛制御学から出向という形で、永谷さんが社会人入学で山形から来てくれています。それから、修士課程では行動医学から柿崎さんが来てくれました。

 また最後に私自身のこの1年間を振り返ってみますと、先ほど久道先生にも言っていただきましたけれども、2月に「のばそう健康寿命」という本を書いたあたりから、だんだん行政とのつながりが深くなってきまして、「健康フロンティア戦略」でも色々お話させていただいたり、この7月から「老人保健事業の見直し検討会」というものが発足しまして、初めて座長を務めまして、6回会議を開催して、10月末に答申が出せたのですが、その中で介護予防というものをかなり打ち出していきました。今度は、その介護予防を介護保険の方でやれということで、介護予防サービス評価研究委員会ができまして、そこの委員もやっております。

 それから、8月からは「戦略的アウトカム研究班」。これは学術会議の黒川議長が班長を務めておられまして、日本人の健康課題として重要なものについて戦略的に大型の予算を配分して大規模なトライアルをすることを通じて、日本の臨床研究あるいはアウトカム研究の全体的な底上げを図るものです。これから5年後ぐらいには日本からきちんとした、大規模多施設RCTの結果が日本発のエビデンスとしてJAMAとかNew Englandなどの一流の医学雑誌に載るような、日本の医学研究そのものを変えていくような企画を考えているわけです。その中で、今月から厚生科学審議会、この会長は久道先生なのですが、この審議会の中で厚生科学研究の中長期展望に関する専門委員会というのがつくられまして、厚生科学研究のあり方について提言をする委員会にも入れていただきました。

 この1年間を振り返りますと、私は何回東京に行ったかなと大変な思いをしているのですが、その分を教室員のみんながきっちりバックアップしてくれていますので、私も安心して東京に行っては色々な新しい情報を手に入れて、そしてまた色んな研究費の算段をして、そういったものをまた教室に還元して、そしてまた教室が色々な意味で頑張ってくれて、いいペーパーを書いてくれる。そうなると私の評価も上がって、また色んなことがやりやすくなる。そういった、良い関係でこれからも教室をつくっていきたいなと思っております。

 今年1年も忙しい1年だったのですが、色んな形で私自身も、また教室員一人ひとりも色んな蓄積や発展があったのではないかと思うのですが、それを一つの起爆剤にしまして、来年また頑張っていければなと思います。その意味で、来年は今以上に良いご報告をできることを願って、私のご挨拶といたします。

どうもありがとうございました。

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