東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学専攻 公衆衛生学分野

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2007年度(平成19年度)公衆衛生学教室同窓会総会

会長挨拶

 皆さん、こんばんは。久しぶりに会う方もたくさんおりまして、本当にうれしく思います。大歓迎いたします。
 恒例によりまして、教室の1年を振り返ってお話をさせていただきます。
 この1年間の教室の主な出来事といいますと、久道先生からもお話がありましたけれども、久道先生が県を辞められて宮城県対がん協会の会長にご就任されたということであります。2番目が、昨年の総会でも途中経過をご報告しましたが、大崎市の市民健康調査が成功裡に終了しました。40歳以上の全市民7万8,000人を対象にアンケート調査をやりました。調査票の配付は区長さんがやってくれて、回収は郵送で行うということで、回収率がどうなるかと心配していたのですが、結果としましては、大体3分の2の方ですね、約5万人(65%)の方から有効回答をいただきました。現在集計しておりますが、横断調査の段階だけでも非常に興味深いデータがたくさん出ておりまして、いずれこの教室を担ってくれる大きなコホート・データになるのではないかと期待しており ます。

 東北公衆衛生学会を7月20日に開催いたしました。その前日がみちのく会でした。今回シンポジウムを企画いたしまして、「地域で職場で、うつと付き合う、自殺を防ぐ」というタイトルで行いまして、今日お見えの粟田先生にも講師をやっていただきました。東北地方の代表的な先生方3名のご講演をいただきましてディスカッションをしたのですが、学会参加者の方から非常に高い評価をいただきました。改めてお礼を申し上げたいと思います。
 今回、受賞が幾つかありましたのでご紹介したいと思います。まず、大久保先生が日本疫学会の奨励賞を受賞しました。疫学会奨励賞は当教室出身者では彼で6人目ですね。半ダースまできましたので、そう遠くない時期に二桁いくのは間違いないと思っています。2、3年ごとに必ず当教室から受賞者が出ていることは素晴らしいと思います。それから、島津太一先生が東北大学総長賞を受賞しました。総長賞は学部学生と大学院の学生のそれぞれで表彰されるのですが、医学系研究科では、大学院生のときの論文業績を評価したうえで選考する訳ですが、島津先生は抜群の成績で総長賞を受賞しました。「日本における食事パターンと死亡リスク」ということがテー マでした。
 それから、これから先は内定ですが、中谷先生が日本学術振興会の海外特別研究員に内定しまして、来年4月からデンマーク対がん協会に2年間留学することが決まっています。実は、この海外学振というのは非常に待遇がいいのですね。渡航費と生活費をかなり出してくれるのですが、その分、競争率が非常に高いです。8倍の倍率です。しかも2段階選抜です。書類審査の後、ポスターを使ったプレゼンテーションと面接が行われます。そういったものを越えて選ばれました。ちなみに、医学系研究科からは今回3名出ていましたが選ばれたのは中谷先生だけであります。おめでとうございます。頑張ってください。

 それから、おととい決まったばかりですが、栗山先生が東北大学医学部奨学賞金賞を受賞することになりました。この金賞というのは、言ってみれば東北大学の医学部・医学系研究科の研究者ならば、誰しもが憧れる賞であります。今回、緑茶のJAMAの論文を始めとする数多い業績で選ばれたのですが、歴史をひもといてみますと社会医学系でこの金賞を受賞できたのは、実は栗山先生で二人目であります。では前にもらった人はだれかしら? 私でございます。
 恒例のベストペーパー賞ですが、今年は島津先生でした。International Journal of Epidemiology(IJE)に出した論文で、先ほどの総長賞と一緒ですけれども、そういった意味でダブル受賞ですね。後で景品を差し上げますので、ご挨拶よろしくお願いいたします。論文名は「Dietary patterns and cardiovascular disease mortality in Japan」ということで、非常に高い評価を受けております。それが今年の当教室を代表する論文になった訳で、本当におめでとうございます。またこれからも頑張ってください。

 それから新人紹介ですけれども、今年は4名の方が新しく入ってくれました。一人が酒井太一先生。宮城大学の看護学部の助手の先生です。あと渡邊先生。こちらの方も東北大学の保健学科の看護学専攻の助手の先生です。お二人が、社会人入学という形でこの4月から入られた方々です。それから、1年間の予定なのですが、婦人科から角田先生が来てくれまして、PCBなどと子宮内膜がんとの関連について研究するということです。そして、客員研究員として李先生という方が中国の西安からいらっしゃいました。この方は、武田医学研究振興財団のファンドをもらいまして2年間滞在の予定です。まだ来て二ヶ月ぐらいですか、ようやく慣れてきた頃だと思うのですが、慣れてきた頃かと思っていたら、もうすでに論文を書いているということで、大変いい先生が来てくれたなと思っております。うちの教室は幸運だなといつも思うのですが、本当にいい方に来ていただいて、ちゃんといい仕事をしてくれて、そして教室の雰囲気をよくしてくれて、本当に助かっております。

 また、今回、総長賞をいただいたり、金賞をいただいたり、疫学会の奨励賞をいただいたり、学振の海外研究員に選ばれたりということは、この教室のアクティビティーが各方面から非常に高く評価されていることの現れではないかと思うものです。なぜ我々の研究が高く評価されているかというと、やはりこれは、がん登録というものがあって、それときっちりリンケージできるコホートを持っていたからということに尽きるのです。これが我々の教室の一つの勝利の方程式だと思うのです。そうして考えていきますと、50年近いがん登録の歴史を常に支えてこられた高野先生を今年亡くしたことは、先ほど久道先生もおっしゃいましたが本当に心痛の限りであります。そこで特に若い方々に言いたいのですが、がん登録とリンケージして研究している、これは当たり前のことなのだと考えている人は多いと思うのですが、がん登録をつくられた瀬木先生を始め、高野先生、栗原先生、いろんな大先輩の方々の大きなご苦労があったからこそ我々は自由に研究をさせていただいている。このことを大きく自覚した上で、そのような責任のもとで研究を続けてもらいたいと思います。そして次の世代に引き継いでいけるようになってもらいたい。同窓会という場は、先輩方からいろんなことを学び、また明日へと繋げていくための場です。有意義な時を過ごしてください。

 今日は藤田先生がわざわざ、大阪から来てくれました。藤田先生も我々の研究室で一緒に勉強して頑張ってくれて、そして今こういった領域で全国区の先生になっています。今日は藤田先生のお話を聞きながら、またいろんなことを考えたいと思います。

  以上をもちまして私の挨拶といたします。どうもありがとうございました。

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