東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学専攻 公衆衛生学分野

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2010年度(平成22年度)公衆衛生学教室同窓会総会

会長挨拶

 みなさん、こんばんは。
 今年1年間を振り返って、本当にうれしいことが幾つかありました。まず准教授として教室を長年にわたって助けてくれた栗山進一先生が、8月に東北大学環境遺伝医学総合研究センター(エコチル)の教授になったことを、非常に嬉しく思っております。
 それとほぼ同時期に泉陽子先生、63年卒で公衆衛生で論文を書いた先生が、厚生労働省の母子保健課長になられました。東北大学医学部卒で厚生労働省医系技官の課長になったのは泉先生が初めてなのです。さらに、後でも詳しくお話ししますが、母子保健課長というポストを遡ってみますと、厚生省の初代母子衛生課長が瀬木三雄先生なんです。ですから、泉先生が東北大学卒として初めて課長になられて、その任地が母子保健課長だったというのは東北大学公衆衛生学教室の一つの輪というか、一つのつながりというものを象徴しているようで、本当に嬉しく思いました。そこで大変お忙しいでしょうが、同窓会に来てご挨拶いただけませんかとお願いしましたら、明日が国会の最終日で大変お忙しいところを、来ていただいて本当にどうも有り難うございました。
 もう一つ嬉しかったことは、10月に鈴木寿則君が国保の学会で優秀賞を受賞したことです。彼も本当に頑張ってくれていて、宮城県国保連合会の全疾病登録が始まって以来、いろいろな仕事をしていますので、それが評価されて本当によかったなと嬉しく思っています。
 それから、11月に学生支援機構から嬉しいニュースがありました。この機構はもともと育英会ですけれども、そこが学生顕彰というものをやっています。大学生で頑張った人たち、学術部門、社会貢献、芸術、スポーツ、この4つの部門で学生顕彰を毎年やっています。昨年は基礎修練で論文を書いた長沼透君が大賞を受賞しました。今年も基礎修練の結果を論文にして6年生の宇井あかねさんが優秀賞、小山泰君が奨励賞ということで、2年連続で私どもの教室で基礎修練を受けた医学生たちが学生支援機構の学生顕彰を受賞するということは、まさに我々がやっている基礎修練は全国的に見て非常に高いレベルにあることを証明してもらったものと考えております。特に、宇井さん、小山君の論文の指導をしてくれた栗山先生初め、多くの人たちに改めてお礼を言いたいと思いますし、また、そういう気持ちでこれからも学生教育に頑張ってほしいと思っております。

 それから教室の人事を順次まとめてみますと、栗山先生が転任されて、現在准教授のポストはあいています。一方、助教についても寳澤篤先生が4月に山形大学に移って、講師になりました。その後任として今司会をしている柿崎が入ったということであります。秘書さんもかわりまして、我妻美香さんが栗山先生と一緒にエコチルに移ることになりました。そして4月から菊地悠子さんが入っているというようなことです。大学院生が4人入りまして、後で自己紹介してもらいますけれども、4人とも素晴らしい人たちで、本当に人に恵まれているなと改めて嬉しく思うような人材ばかりですので、とても楽しみにしております。
 実は、准教授の後任がいないことも含めて、私もこの人事を実際に経験するまでは教室のパワーは弱くなってしまうのかな、大丈夫かなと我ながら心配した時期もあったんですけれども、そういう私の不安が伝わったのでしょうか、みんな頑張ってくれて、特に柿崎さんを中心に非常に頑張ってくれまして、研究がかなり進んできている状況です。
 その一つの例として、来年の日本疫学会での発表演題ですが、うちの教室から10題出ました。2桁というのは今回初めてですので、みんな頑張ってくれている証拠です。テーマも、睡眠と介護予防との関連、前立腺がんとの関連や、GGTや不飽和脂肪酸と要介護との関連、授乳と性ホルモン関連がんの関連、それから体重変化と前立腺がんや心血管疾患との関連、コレステロールと要介護リスクとの関連、あるいはパーソナリティーと死亡リスクとの関連など多種多様です。この教室は何を専門にしているんだろうというぐらい、本当に多様性のある研究テーマをみんなが続けてくれて本当に嬉しく思っております。しかも、口演を希望した演題は全てその通り採択されまして、口演発表数は東北大学公衆衛生がトップでした。この調子で頑張ってほしいと思います。

 恒例のベストペーパー賞ですが、今年は同点でIJCに2つ載りました。二人ともリー先生という中国からの留学生で、私たちはヤング・リーとオールド・リーという風に呼んでいました。ヤング・リーは北京大学の大学院生で、1ヵ月間だけ仙台に来てサマートレーニングを行う星野フェローとして来たんですけれども、この1ヵ月の滞在でうちのコホート研究データを使ってペーパーを書いてしまいました。それがIJCに載りました。いま彼は北京大学を卒業して博士をとって、ハーバードでポスドクをやっています。Nurses Health Study に関わって大変頑張っているそうです。
 こちらのオールド・リーは西安交通大学から来た人ですけれども、2年間いまして、論文を3本書きました。彼の発想のユニークさに私はいつも驚かされたんですが、胆石と前立腺がんリスクとの関連というように、ちょっと考えつかない組み合わせでデータを解析してペーパーを書いてしまうんです。この二人と一緒に研究しながら教室員も多くのことを学んだと思うのですけれども、彼らが受賞してよかったなと思います。副賞はいつも図書カードを差し上げているんですが、日本の図書カードを中国に送っても使えませんので、今回その図書カードは差し上げないで、彼らと日本で会う機会に渡したいと思います。

 私も教授を拝命してから8年経ちまして、任期の3分の1を超した頃になりました。私が教授に就任した当時の教室員はどうだったかなと見直してみたら、当時の助教授は坪野先生で、西野先生が助手ですぐアメリカに留学して、代わりに栗山先生が助手になった頃です。さらに、ポスドクのポストが当時は充実していまして、これは久道先生がそういうふうにしてくださったわけですが、藤田君が長寿科学のリサーチレジデント、寳澤君が学術振興会のPD、中谷君が研究支援者ということで、3人ポスドクがいました。みんなが8年後どうなっているかというと、坪野先生は東北大学教授、西野先生は宮城県がんセンター研究所で東北大学連携講座の准教授です。それから、栗山先生が教授に就任し、藤田君も大阪大学准教授、寶澤君が山形大学の講師、中谷君が鎌倉女子大の講師ということで、皆さんそれぞれ進んでくれておりまして、改めて本当に嬉しく思っております。この私が教授を拝命した時に私を支えて助けてくれた人たちが全員外に出て、しかもこういった形で指導的な立場に立っている、あるいは間もなくそういう立場に立つ、このように順調に育っていることを改めて確認できて、本当に嬉しく思う次第です。
 その面で考えますと、私の教授時代として第1期が終わったのかなと思っております。いまが第2期のスタートというふうに今年を考えると、いま大学院生が14人いるわけですけれども、その人たちが今後どうなっていくのかということについて、このようなフィードバックのスライドを何年後かして出して、その時にまた何か自慢できるようになることがこれからの私の目標かなと思っているわけです。

 以上をもちまして私のご挨拶といたします。

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