東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学専攻 公衆衛生学分野

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2014年度(平成26年度)公衆衛生学教室同窓会総会

会長挨拶

この1年間を振り返ってみたいと思います。今年は嬉しいことが沢山ありました。
 先ず第一に、久道先生からもお話いただきましたけれども、宮城県新生物レジストリー委員会が河北文化賞を受賞しました。皆さんご存じのとおり、教室の初代教授である瀬木三雄先生が宮城県地域がん登録事業を始められまして、ちょうど今年が55周年でしたので、それをお祝いできる意味でも非常に重要だと思いました。また、「がん登録推進法」が国会で成立しましたので、宮城の地域がん登録がこれからの全国標準になるということで、その記念すべき年に受賞できて本当によかったと思っております。
 それからもう一つ、1月に日本疫学会学術総会を主宰いたしましたが、皆様方に大変お世話になりました。お陰様で非常にいい学術総会になりまして、多くの方々からお褒めの言葉をいただきました。これも、同窓の先生方のお陰です。改めて御礼を申し上げたいと思います。

 それから大学院の公衆衛生学専攻が来春開講ということになりました。この数年をかけて公衆衛生学専攻の準備をしていたわけですが、社会医学講座の7名の教授のうち4名の方を準備期間中に新しくお迎えすることができました。その際は、大内研究科長のお力添えもありまして、公衆衛生学専攻の理念に合ったベストの先生方を選ぶことができました。その中のお一人が、これからご講演いただく浅井先生ですが、素晴らしい方に来ていただいて、本当にありがたく思っていますし、本日のお話を楽しく拝聴したいと思います。
 皆さんにお渡しした資料は公衆衛生学専攻のポスターになっていまして、これは広報室の人が作ってくれました。ちょっと解説すると、右手が描かれていますが、その中に公衆衛生学に関連する様々なものが描かれています。ジュネーブのWHO本部が手首に書いてあります。親指のほうに行くと、蚊がいたり、ネズミがいたりして、感染症の問題が描かれています。さらに飛行機が飛んでいて国際保健があって、歯科保健の絵もあって、何か小坂先生のお仕事そのものを描いたような親指になっています。手のひらの上のほうに行きますと、コクラン・コラボレーションのロゴがあって臨床疫学や臨床研究が書いてあります。染色体があって、ゲノムがあって、家系図があってという形で、ゲノム科学が描かれています。このような形で、ポスター1枚の中に公衆衛生学専攻のミッションがまるごと詰まっている訳であります。このように、新しい公衆衛生学専攻では、従来の社会医学講座7分野の研究教育に加えて、臨床研究とゲノム科学を充実させ、また歯学部とも連携しながら、良いものをつくっていきたいと考えていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 公衆衛生学専攻の設置に伴って、我々の分野の名称も変更になります。従来は「東北大学大学院医学系研究科医科学専攻社会学講座公衆衛生学分野」でしたが、これからは我々の本務先は公衆衛生学専攻になりますので、「東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学専攻情報健康医学講座公衆衛生学分野」という名称になります。博士課程に関しましては医科学専攻を兼ねますので、「医科学専攻情報健康医学講座公衆衛生学分野」となります。人に言うときは東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野だけで足りると思いますので、今まで通り変わらないかなとは思いますが、正式名称も覚えておいてください。それから、英語名も“Division of Epidemiology”という分野名は変わらないのですが、講座名は“Department of Health Informatics & Public Health”ということで、来年4月から名称変更となります。

 それから、今年一番めでたかったことは、先ほども久道先生からお話がありましたが西野善一先生の金沢医大教授内定ということです。きょうは同窓会としても、西野先生の教授内定をお祝したいと思います。
 人事といたしましては、今年の新人ですが、海法先生は去年入学しましたが、去年の同窓会には出られませんでしたので、今回初めてということでご挨拶をお願いします。それから、中国から張さんというとても素晴らしい方が入学しました。それから、境さんが研究員として、鈴木さんが技術補佐員として加わりました。
 ベストペーパー賞ですが、今年は Psychological Medicineに載ったパーソナリティと自殺との関連に関する研究でありまして、インパクトファクターが5.4です。これは丹治君と菅原さんのダブル受賞といたしました。なぜダブルかというと、first draftを丹治君が修士課程のときに書きまして、卒業してからは看護師の臨床が忙しくなったので、リバイズなどの対応を菅原さんが全部やってくれたので、ダブル受賞ということで、後でお二人をお祝いしたいと思います。
 他にも受賞としては、今年は日本疫学会のポスター賞を、菅原さん、杉山君、本藏君がとりまして、先々週の日本公衆衛生学会でも遠又君が優秀演題賞という、いい仕事を皆さんしてくれて、本当にうれしく思います。
 日本学生支援機構優秀学生顕彰事業において、現在医学部6年生の熊谷裕美さんが大賞を受賞しました。我々の分野で基礎修練をやった学生が大賞を受賞したのは今回で3人目です。我々が指導している基礎修練がいかにハイレベルかということを証明するもので、チューターの方々、本当にありがとうございます。今年もぜひよろしくお願いします。

 最後になりますが、今年、私自身が一番うれしかったことは、がん登録推進法に関することです。この法律の運用に関わることを議論するために、厚生科学審議会の中にがん登録部会というのが新しく設置されましたが、私が部会長を拝命いたしました。本日、最初に申しましたように、がん登録推進法とは、初代教授の瀬木先生が宮城で始められたがん登録を全国に展開するものと言っても過言ではありません。そして、全国がん登録の運営を議論する部会の初代部会長を4代目教授の私が務めることを、非常に名誉に感じております。
 がん登録された患者さんの予後については、国といいますか国立がん研究センターが生存・死亡の確認をすることが法律で明記されていますが、その調査期間を政令で決めないといけない訳です。では、一体何年間調査するのかということで、部会でもいろいろ議論があったのですが、最終的に100年間追跡することに決まりました。これによりまして、これからは日本でがん登録された方については、ほぼ100%の精度で、生存・死亡が把握できることになります。これにより、がんの臨床研究、疫学研究が飛躍的に進むと思っています。そのような重要な政策決定に関われたことが、私としては、この1年間の中で一番うれしいというか、誇りに思ったことでありました。
 もっとお話したいことはあるのですが、浅井先生のご講演も楽しみですので、これくらいにいたします。今年は良いことがたくさんありましたが、これも全て、同窓会の先生方、現在の教室員の方々のお陰でありましたので、改めて御礼を言いたいと思います。また来年も良い報告ができるように頑張りますので、ご指導、ご支援の程、お願いしたいと思います。どうも有難うございました。

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