東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学専攻 公衆衛生学分野

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2015年度(平成27年度)公衆衛生学教室同窓会総会

会長挨拶

 この1年間を振り返ってみたいと思います。
 まず第一に、医学系研究科のなかに公衆衛生学専攻が設置され、最初の学生を受け入れました。私たちの研究室にも精神科医の大塚達以君と看護師の村上綾さんが入学しました。公衆衛生学専攻の設置に伴って、専攻8分野と協力3分野の教授が定期的に専攻会議を開催するようになりました。これまでの社会医学講座であったときは、そのような会議は殆ど開かれなかったので、専攻会議によって教育や研究での緊密化がさらに進むものと期待しています。
 また新人としては、大塚君と村上さんの他に、大学院博士課程に張姝さん、丹治史也君、渡邊志乃さんが入学しました。そして整形外科の大学院生の関口拓也君が出向してきました。このように、有能で熱心な若者たちを迎えて、研究室のアクティビティはさらに上がっています。
 受賞では、遠又靖丈君が2つ、丹治君が1つ、それぞれ受賞しました。遠又君の一つ目は、アジア栄養会議で Young Investigator Award です。これは約1,500件の演題のなかから17件選ばれたものです。もう一つは、日本公衆衛生学会の奨励賞です。この賞を受けるには「連続5年以上日本公衆衛生学会の正会員」であることが必要と規定に書かれていますが、彼が学会に入会してから僅か6年しか経っていませんので、おそらく最年少の受賞者ではないかと思います。たった6年で、これほどの成果をあげてくれたことを、本当に嬉しく思っております。そこで講師に昇任しましたので、ますますの活躍を期待しています。
 丹治君は、本研究科の辛酉優秀学生賞を受賞しました。彼は、私たちの研究室で修士課程を修了後、大学病院で看護師として臨床を経験した後、博士課程で戻ってきてくれました。この受賞もあって、上々のスタートではないかと思います。これを励みに、ますます頑張ってもらいたいものです。
 また、医学科3年の基礎医学修練では、私たちの研究室に配属された2人の学生(森健太郎君・成田衛君)が学生発表会において、最優秀賞(森君)と奨励賞(成田君)に選ばれました。これは、各学生がクラス全員の前で研究成果を発表したうえで、学生の投票により選ばれるものです。2人とも真面目で研究熱心でしたので、当然の成果というべきかもしれませんが、遠又君、助教の菅原由美さん、大学院生の海法悠君、丹治君の熱心な研究指導の賜物でもありますので、彼らにもお礼を言いたいと思います。

 私個人は、『健康長寿社会を実現する』という単行書を大修館書店から上梓しました。いわゆる「2025年問題」を乗り切るための公衆衛生戦略を提言するような本でしたが、それならば政策を考えてみろということで、日本健康会議や次世代ヘルスケア産業協議会、日本版CCRC構想有識者会議など、さまざまな官庁から声をかけていただきました。基礎医学が病態メカニズムの解明を、臨床医学が治療法の開発をそれぞれの目標にしているとすれば、社会医学の究極の目標は自らの知見・理論を政策・制度に進化させることではないかと思っています。その意味で、研究室を不在にすることが多くて教室員にも迷惑をかけていますが、これも研究者の使命の一つなのだと思って頑張っています。
 東日本大震災から5年が経って、被災者の復興状況にも格差が生じるなかで健康問題はますます複雑化しています。それに対して、地域保健支援センターは、県内各地での被災者健康調査を続け、自治体とともに支援活動を粘り強く行っています。研究室では、菅原さんと丹治君が中心になってセンターを動かしてくれていますが、他にも大学院生の渡邊崇君と杉山賢明君が石巻市網地島の地域医療を支えてくれたり、また関口君が結果説明会などで骨関節疾患に関する講話などをしてくれたり、研究室全体で被災地の健康づくりに貢献していますので、皆に改めて感謝の意を表したいと思います。
 これまで紹介してきた様々なことが今後さらに発展して、学問的な成果になるとともに人々と社会をさらに健康にしてくれることを願って、簡単ではありますが、この1年間の研究室の回顧とさせていただきます。

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