東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学専攻 公衆衛生学分野

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教授挨拶

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 令和5年4月より当分野の教授を拝命しております、寳澤 篤です。
 これまで疫学・公衆衛生学は病気の成因を明らかとし、その対策方法を示すことで健康寿命の延伸に貢献してきました。なかでも私たちの教室は、多くの疾患の原因の解明にとどまらず、がん検診の有効性・健康寿命の延伸に向けた方策を提示し、その社会実装を実現してきました。

わが国では少子高齢化が進み、ますます個々人の健康を大切にする時代が到来しています。近年、このような時代の要請に応えるように、評価可能な病気の成因が増加しており、今まで明らかにできなかった(1)個々人の遺伝的要因に基づく疫学研究、(2)詳細なライフログを用いた疫学研究、(3)ゲノムのみならず様々な代謝物質を考慮した疫学研究が可能となりました。

 病気になってから、病気が進行してからの医療だけでなく、いかに健康を維持できるか、いかに病気を早期に発見できるか、そのために社会がそして個人が何をできるかを知ることがますます重要になっています。

 私たちの教室のミッションは、以下の3点に要約されます。第1のミッションは、「いかに迅速に社会の流れに沿ったエビデンスを提供できるか」です。
一人一人の人間についての情報量が爆発的に増大しており、例えば宿主側の要因としては遺伝要因があげられます。遺伝情報の解析速度は急速に上がっており、国民の多くが自分の遺伝情報について情報を得る日がすぐそこまで来ています。その際に、遺伝情報に基づき何に気を付け、何をすべきかを提示できる情報提供を行っていくことは重要なミッションだと思います。また、生活習慣側の要因としては広がりつつウェアラブルディバイス情報の利活用があげられます。これまでの疫学研究では、大規模調査になればなるほど、調査票による情報取得に頼らざるを得ませんでした。しかし、ウェアラブルディバイス情報により歩行時間・睡眠時間といった客観的な生活指標が把握可能になりました。これらの情報と将来の健康がどのように結びつくかを調べることが可能になりました。これら新たな指標に基づき、個々の健康のためにどのように正しく対応していくかを考えることは非常に楽しい作業です。

第2のミッションは「疫学で得られた知識をいかに社会に広げていくか」です。これが健康に良いと研究者が知ってから、実際に社会の常識になっていくまで非常に長い時間がかかります。研究で得られた知識をいかに早く地域に社会実装していくか、すなわちどれだけ早く研究成果を一般の方々の生活に届けられるかが重要です。

第3のミッションは、「これら多様な情報を扱うことができ、社会につなげられる人材をどれだけ多く育てられるか」です。

 私自身も公衆衛生学分野の先々代の久道 茂名誉教授、先代の辻 一郎名誉教授にご指導をいただきましたが、同窓生は極めて多様な人材の宝庫です。これまで公衆衛生学分野では、それぞれの研究者が持つ問題意識を大切にしながら、分野を発展させてまいりました。この流れを汲み、多くの方々の協力を得ながら人材を育成し、国民全体の健康寿命・さらにはQOLの向上に貢献していきたいと思います。
 本分野では、これまで本分野が培ってきた大規模コホートデータの分析をはじめ、東北メディカル・メガバンク計画で収集されているデータの分析も可能になります。また多くの学内共同研究、産学連携研究にも携わることができます。

 「いかに迅速に社会の流れに沿ったエビデンスを提供できるか」「いかに疫学で得られた知識をいかに社会に広げていくか」に興味がある方、私たちと一緒に研究してみませんか?皆さんのご参加をお待ちしています。

研究業績目録
公衆衛生学分野 教授
寳澤 篤

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